"キャリア適性検査のエキスパート"「雇用問題研究会」 山形時雄 さん

梅雨入り。ホタルが清流の暗闇に幽玄な光の舞いを演出。アジサイの花が雨の雫に彩る季節。お元気ですか。新入社員、転職、異動の皆さま、右も左もわからず無我夢中の日々でしょう。悩んでいませんか。3ヶ月の壁を突破してほしいですね。応援しています。

さて、今月は、そんな仕事人生に関わる“キャリア適性検査のエキスパート” 「雇用問題研究会」の山形時雄さんがご登場です。私の所属する福岡県キャリアコンサルタント協会で、毎年、セミナーをお願いしています。職業適正検査〜GATB、VPI、VRT、キャリア・インサイトMCを得意としていらっしゃいます。深いお話をわかりやすくご講義くださり、参加者の皆さんに大好評です。情熱家で真っ直ぐな誠実さと温かなお人柄。包み込む笑顔・・・伝わってきます。

プロフィール

山形 時雄(61歳)

現職 一般社団法人雇用問題研究会 普及促進課
http://www.koyoerc.or.jp/

2006年から
各県労働局職員研修 講師
ハローワーク進路指導担当者講習会 講師
私立大学 キャリア支援セミナー 講師
当会セミナー等の講師・講演

  • 日本キャリア教育学会会員
  • 独立行政法人労働政策研究・研修機構 VRT改訂委員会オブザーバー
  • 独立行政法人労働政策研究・研修機構認定 キャリア・インサイトMC講習会 講師

Kさんとの出会い

私の今日のキャリアの原点は、Kさんとの出会いから始まりました。実に豪快な、型破りの人生を駆け抜けていったKさんは、14年前48歳で夭逝しました。(私と同じS26年生れ)

彼との出会いは、彼がまだ大阪府の職員だったころに遡りますが、その後、研究者としての道を進みたいと当会に転職。適性検査の普及・啓発の業務を精力的にこなし、今日、当会が行っているセミナーの原型を立ち上げたのは彼であり、その活動力は積極的に外へのネットワークとして広がっていきました。その後、私が関連企業へ出向したことによって、一緒に机を並べて仕事をしたのは、わすが1年ほどだったと記憶しておりますが、とても濃密な時間でありました。

Kさんの思い出

「働くこと、学ぶこと、遊ぶこと」

キャリアの概念について、彼がよく言っていたことを思い出します。「自分のアイデンティティとしての専門は、ヴォケーショナルサイコロジー、職業心理学。職業心理学を選んだ理由は誰もやっていない。こじんまりしていて勉強しやすい。臨床心理学なら山ほど学ぶことがあるが、それがない。唯一つの条件。この分野は将来必ず必要になると信じていた」と。

彼の予言通りとなりました。

職業心理学には4つの理論と3つの技術。

そのうちの一つ、ヴォケーショナルガイダンス「職業指導」。これは技術、応用の部分。1950年代にスーパー博士が「ヴォケーショナルガイダンスからヴォケーショナルカウンセリングへの移行」という論文で、職業指導という技術・手続きのようなものから、もう一歩進んだカウンセリング、ひとり一人の発達を目指すべきものとして、発達理論を提唱。

キャリアの概念をもっと広く考え、5つの概念を提案。

  1. ワーク:仕事・働くこと
  2. アカデミー:勉強、教養としての勉強も
  3. ホビー:趣味・広い意味での芸術やスポーツなど、娯楽的なものも含めて
  4. ファミリー:家族との関係
  5. コミュニティー:地域活動など

これから連想するのは、どこかで聞いた気がするのですが、「働かないと生きていけない、学ばないと生きている値打ちがない、遊ばないと生きている意味がない」私の前を、いつも彼が歩いています。

若者へ(大学でのキャリア支援・講義で感じたこと)

大学生に伝えたいこと。
職業を選ぶ3つのポイント。
ヒント。美と利と善。

  1. 好きであること(自分にとって美しい仕事であること)
  2. 得(利益)であること(利益があり、生活ができる仕事であること)
  3. 社会に貢献できること(人の役に立つ仕事であること)

教科書的に言うなら、

  1. 個性の発揮
  2. 生計の維持
  3. 社会参加

好きで、人の役に立つけど、食べていけない。
生活ができて、人の役に立つけど、好きになれない。
好きで、生活ができるけど、人の迷惑になる(仕事とはいえない)。
3つ揃うことは至難の業。

大学での学びは何のため?

何のための知識なのか。
「大学は全ての知識を、人生にとって価値あるもの、即ち、われわれ各人が人類のために実際に役立つ人間になることと人類そのものの品性を高めること、つまり人間性を高貴にすることという二重の目的を達成するための主な手段として、提供しなければなりません」

こう言ったのは19世紀、イギリスの哲学者ジョン・スチュアート・ミル。

やる気を引き出す、啓発する

感動という言葉はあるが、知動という言葉は聞きません。人は、感じて動くもの。お前の言うことは良くわかった。でも「俺はやらないよ」

人は感じて動くもの?

職業適性検査(GATB)を実施するときなど、実施は作業ですから単調でつまらないものですが、ここでも「何のために」という目的を明確にして実施するよう心がけています。また、工夫も必要です。GATBが誕生した背景、アメリカの当時の状況など、19世紀から20世紀にかけて活躍した「科学的管理の父」といわれるティーラーは、効率よく作業を行うにはどうしたらいいかを研究した先駆けです。彼によると鉛筆の置き方一つにも、効率性の違いが現われます。それを具体的にやってみせます。

そんな彼が反面、こんなことも言っています。

「やるぞ」と決めれば、上手くいく。「制度の変革を成すにあたり、試みにやってみたことは必ず失敗し、きっと『やる』と決めたことは必ずうまくいくものである」と。

「やる気をどうやって引き出すか」

いつも反省の連続です・・・。

コンピテンシー

広島大学のアリの研究から。
アリはエサを見つけると、フェロモンを分泌して目印とするそうです。
この目印に敏感な秀才アリと鈍感な鈍才アリがいます。
では、エサをたくさん集められる集団はどちらか?

秀才アリだけの集団は、わき目も振らず目印を目指すそうです。その結果、残念ながら新たなエサは発見できません。
一方、鈍才アリがいる集団では、鈍才アリは目印を見失いウロウロします。するとその結果、新たなエサを発見します。

差異は本来、認めることはもとより、尊敬し学びあうべきもの。その視点を持つことが大事。人間の組織も、いろんな人がいて、みんな良い。職業は役割分担。

ホランドの職業選択の理論

「職業選択の理論」で有名なジョン・L・ホランド(John L . Holland, 1919-2008)は、「実践家の役に立つ」ことを目標にホランド理論の構築に向けて、生涯チャレンジし続けました。

*下記、最後に「ホランドの論文」を記載しています。

さあ、今日も一日、誰かのお役に立てるよう頑張ろう!
脈絡のない話に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

白石明子から山形時雄先生へ

毎年、私たち福岡県キャリアコンサルタントは、キャリア適正検査セミナーを開催しています。講師は、会員の皆さんから絶対の信頼で山形時雄先生をご指名です。東京からいつもありがとうございます。感謝でいっぱいです。

その時の様子をブログにアップしています。クリックしてくださいね。

2013年の山形時雄先生による

福岡県キャリアコンサルタント協会 
HPからの申し込み

日時 2013年11月17日(日) 福岡センタービル

内容 1: 19:30〜12:30 
VPI(職業興味検査)取扱者向け講習 
VPIとは http://fcca.biz/about_vpi/

内容 2: 13:30〜16:30
VRT(職業レディネス・テスト)取扱者向け講習
VRTとは http://fcca.biz/about_vrt/

♪山形時雄先生を囲んで♪

〜2011年 GATBセミナー後の懇親会〜

〜2012年 VPI、キャリア・インサイト後の懇親会〜

*ジョン・L・ホランド(John L . Holland, 1919-2008)

若者の職業支援に携わるカウンセラーをはじめ、進路指導や職業指導に関わりをもつ人々にとって、ホランド理論はとても身近な存在です。職業レディネス・テストやVPI職業興味検査で使われている6つの職業領域もホランド理論に基づいています。

人のパーソナリティタイプがわかれば、おのずからその人の興味を生かせそうな職業領域や職業例の情報をえることができるという、現在では広く知られる理論(RIASECキャリア・ディベロップメントモデル)を確立したアメリカのカウンセリング心理学者、ジョン・L・ホランド。世界にその名を知らしめることになる「ホランド理論」の確立に至る背景を探ってみましょう。

現在、わが国の大学生をはじめとする若者の進路指導や就職ガイダンスの用具としても広く活用されているVPIの原版は、1953年の初版から改訂が重ねられた1978年版を原版としています。

ウエスタンリザーブ大学で心理学を教えながら、職業カウンセラーを3年ほど勤めていたホランドは、「職業興味とパーソナリティとが非常に関連深い」ことに気づきます。そして、さまざまな職業選択理論の中でも、職業選択および職業発達の主要な影響要因として、特にパーソナリティタイプに着目しました。人と環境の相互作用を強調する彼は、職業の選択がパーソナリティの表現であり、ある職業環境にいる人々には、共通したパーソナリティとパーソナリティ形成史を示しやすいと考えたのです。

この仮説に至る背景には、ホランド自身の職業経歴が伏線のように浮かび上がってきます。第二次世界大戦時、軍隊での入隊時の面接官の職に就いていたホランドが着目したのが、「ひとり一人の職業経歴には、多くの規則性がある」ということでした。そして「その規則性は数個のタイプに分類できるであろう」という仮説にいたるのです。パーソナリティタイプ(6類型)の誕生です。

この仮説は、後にメリーランド州の復員兵病院の職業カウンセラーとしての職務経歴の中で、さらに強固なものとなっていきました。実践家の役に立つ「最も使いやすい検査を開発したかった」ホランドは、1953年、「VPI職業興味検査」の初版を公表します。1957年から63年にはNMS社の調査研究部でリサーチャーを、1963年から69年まではACT社(アメリカのテスト開発の公益企業)でテスト開発の研究者を、その後ジョンズ・ホプキンス大学で教鞭をとりながら、59年に職業選択と適応に関する理論を初めて発表して以来の目標でもあった「実践する人々の役に立つ理論」の完成を目指して、さらに研究は続けられました。そして、科学的批判にも耐えうるものを構築しようというホランドの研究目標は、やがて「職業選択の理論」(Making Vocational Choices)として結実します。

実践ツールとしての「最も使いやすい検査開発」と「実践する人々の役に立つ理論構築」に一生を捧げたホランドは、「VPI職業興味検査」とともにその名を今日に残しています。そこから垣間見えるのは、I(研究的)・E(企業的)タイプのパーソナリティであり、最も相反するタイプをあわせ持ったホランドだからこそ、生み出すことができた「理論と検査」といえるのかもしれません。

――ホランド理論の集大成ともいえる「職業選択の理論」第3版の翻訳版が当会から間もなく発刊の予定です。また、ホランド理論を元に日本で開発された「職業レディネス・テスト(VRT)」は、近年、短大・大学等で広く使われるようになりました。職業理解があまり進んでいない若者には、VRTの方が活用しやすいからです。――

(2013.5 山形 時雄)